初めての車 1
鹿児島大学歯学部に入学して、周りのみんなは免許を取り始めました。今ほど、車の種類も多くなく金額的にも、明らかな「ぜいたく品」でした。
自分の力で買おうにも、今のように「バイト」は多くありません。短期の肉体労働か、長期の水商売(僕の周りでは)しかなく、お水に入ると、学生生活をドロップアウトする人が大勢いて、夜の仕事は最後の手段とみんな思っていました(実は1年半はしました、おぼれる直前で辞めました。その当時のバイトの同期のうち3人は藻屑と消えてしまいました)
写真の車(スプリンターHT1,5SE)のCM曲はジュディーオングの「魅せられて」。四半世紀前のレコード大賞をクリスタルキングの「大都会」を破って勝ち取りました。仲のよかった同級生が「カローラHT1.5SE]を買いました。スプリターの姉妹車です。理由は「ジュディーオングが嫌い」。20歳の学生は「魅せられて」に魅せられる事は、ありませんでした。
初めて乗せて貰った時は「インパネ」の綺麗さに驚きました。「光ってる!!」夜光塗料じゃなく光っているのです。窓も「ボタン」で開くのです。当然閉まるのです。今では当たり前ですが、本当に喜んでスウィッチをいじってました。今は覆面パトにしかないフェンダーミラー(懐かしい)もリモコンでした。そしてなにより初めて新車の匂いをかぎました。
実家の車は「ボンゴと、バンと、軽トラ」3台とも中古でした。仕事用ですから実用一辺倒です。しっかり目立つところに、霞神社のお守りが吸盤でくっついていました。
今でも新車の匂いが好きです。新車の匂いの「芳香剤」があれば絶対売れると思うのですが。新車の匂いを嗅いだ時は必ず脳波にも好影響があるはずです。「ひのき」だの「ラベンダー」だのどうせ人工の癖に、自然を訴える匂いよりも、思いっきり人工的な「新車の匂い」のほうが、人は幸せな気持ちに浸れるのでは?
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